ニュースの概要
ビットコインを大量に買い増してきたマイクロストラテジーが、ナスダック100指数の構成銘柄に選ばれるのかという話題が出ている。投資家として知られるケビン・オレアリー氏の見方も絡めて紹介された内容だ。同社は本業の企業向けソフトウェア事業よりも、ビットコインを財務の中心に据える戦略で知られる。ナスダック100は金融を除く大型株で構成され、毎年12月に年次の入れ替えがある。採用されれば、指数に連動する運用資金が自動的に株式を買うため、需要が生まれる。元記事の情報は限られているため、ここでは採用の仕組みと意味、その先に起こり得ることを独自に考えたい。
引用元: マイクロストラテジー、ナスダック100指数の構成銘柄に選ばれるか? Kevin O'leary (iXHN0Otk3X)(Unisba Media)
分析・見解
指数入りは人気投票ではなく機械的な買いを生む
ナスダック100は、ナスダックに上場する非金融企業のうち、時価総額の大きい100社で構成される。毎年12月に年次の入れ替えがあり、基準を満たした企業が選ばれる。採用が決まると、指数に連動するETF(=上場投資信託)は、その株を買わなければならない。代表的なQQQだけでも運用額は数十兆円規模だ。買いは運用者の好みではなく、ルールに従って自動的に起きる。
本業はソフト会社、値動きはビットコインの器
マイクロストラテジーは企業向けの分析ソフトを売る会社である。ただ2020年以降、手元資金や借入金、増資で集めた資金でビットコインを買い続け、2024年末には40万BTCを超える保有量になった。株価は本業の業績よりも、ビットコイン価格に引っ張られやすい。つまり指数に入れるかどうかは、ソフト企業を一社加えるのか、ビットコインへの間接的な投資枠を加えるのか、という問いを含んでいる。形式上は金融企業ではなくソフトウェア企業なので、条件は満たす。ここに論争の種がある。
テスラの指数入りと違い、株の価値の源が異なる
2020年末にテスラがS&P500へ採用された際も、指数連動の買いが膨らんで話題になった。ただテスラは、車の販売という実業の拡大が株価を支えていた。マイクロストラテジーの場合、株価の説明材料は保有ビットコインの価値と、それに上乗せされるプレミアム(=割増分)である。2024年にはビットコインの現物ETFが米国で承認され、投資家は直接ビットコインを買う道を手にした。それでも同社株に割増が付くのは、借入や増資を使った買い増しへの期待があるからだ。指数入りは、この割増を支える材料にもなる。
上昇の循環は、逆回転すると重くのしかかる
株価が上がる。割増を利用して株を発行し、ビットコインを買い増す。ビットコインの需要が増え、価格が上がり、株価がさらに上がる。指数入りは、この循環の最初の段階を強める。一方で逆回転のリスクもある。ビットコインが下がれば割増が縮み、増資で資金を集めにくくなる。転換社債(=株に換えられる借金)の返済負担も残る。指数連動の資金は相場が悪くても保有を続けるため、売り手に回りにくいという安定効果はある。だが、それは企業の財務の弱さを消すわけではない。オレアリー氏のような著名投資家の発言は、期待を高める力を持つ。それでも、期待と実力は別物と見るべきだろう。
ビジネスへの影響
自社の資金に暗号資産を入れる前に確認したい三つの点
マイクロストラテジーの手法を、そのまま真似できる企業は少ない。判断の前に、次の三点を確認したい。第一に、価格が半分になっても事業を続けられるか。第二に、借入で買っていないか。第三に、会計上の評価損益が決算にどう出るか。社内で説明できない保有は、取締役会や取引銀行との関係を悪くしかねない。まず少額から始め、上限をあらかじめ文書で決めておくのが現実的だ。
指数連動の運用で見落としがちな中身の偏り
年金や企業の余裕資金でナスダック100連動の商品を持つ場合、採用銘柄の入れ替えで、思わぬ偏りが生じることがある。ある銘柄が暗号資産と強く連動すれば、株式として分散しているつもりでも、実際にはビットコインの値動きの影響を受ける。運用担当者は、年に一度は上位構成銘柄と、その収益源を確認してほしい。四半期ごとの運用報告に、特定の資産への連動度を入れてもらうと分かりやすい。
話題性より説明責任を重くみる姿勢を
指数入りのような出来事は、株価を動かし、社内でも「うちもやるべきか」という空気を生む。しかし重要なのは、なぜ保有するのか、いくらまで損を許容するのか、いつ見直すのかを、株主や従業員に説明できるかどうかだ。財務の判断は、流行ではなく自社の事業計画から逆算して決めたい。